国際カップル半世紀、満身不具合夫婦のフランス移住紀行ーその19

■ ビザ延長手続きー最終結

 

さて、昨年11月25日にバイヨンヌ(Bayonne)の県支庁舎に出頭して

ビザの延長手続きをしてから、ちょうど2ヶ月経った1月25 日(月)、県庁からの封書が舞い込んだ。

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バイヨンヌ(Bayonne)県支庁舎


どうやら、やっと新たな動きが出てきた。申請手続きに着手してから数えると、ほぼ4ヶ月経っている。つまり、ビザが切れてから4ヶ月ほど経っているということになる。

 

コロナ禍と重なってしまったからとはいえ、これまで帰国もままならず、ビザ切れ、運転免許証なしで滞在中ということになる。厳密に言えば不法滞在、無免許運転中ということだ。

もっとも、私に落ち度は全くないので「知ったことか、なるようになれ!」の心境で、極めて落ち着いた生活であったことは事実だ。

ただ、外出規制(confinement:コンフィヌモン)の中での日常生活にはほとんど変化がないので、新しい出来事にはささいなことにでも敏感に反応してしまう。

私宛の封書などめったに無いことなので、マンション入り口の外にある郵便受けの前で、早速封を切った。

「Titre de séjour(滞在許可証)」の交付手続きが整ったので必要書類を持参して出頭せよとの文面だ。 

手続きに先立って€225(約¥28,900)の収入印紙を購入し、そのレシートを持参せよ、また出頭時間はWEB上から選択して予約せよとある。

 

早速、その極めてわかりにくいWEB上で、金曜日29日の11時30分のアポイントを入力した。予約確認のメールだけは速攻で返信されてきた。

遅刻厳禁、所要時間15分とある。必要書類は、収入印紙のレシート以外にはパスポートと、2ヶ月前にもらったビザ延長正式手続き中の証明書、それに現有のTitre de séjour(滞在許可証)とある。Titre de séjour(滞在許可証)がないから申請しているのだから、ないものはない。

 

さて、29日(金)に予約を入れたのには訳がある。その日の午前9:00に近隣で最大の総合病院に診察予約を入れていたのだ。

病気のデパート状態の妻に新たに心配な症状が出て、診てもらうためだ。

かかりつけ医から紹介してもらって予約したものだが、その病院はコロナの重症患者も受け入れている県下の大きなハブ病院でもある。

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近隣最大の総合病院

来院に関してもコロナ予防処置が厳格で、コロナ以外の一般の患者は予約を取るにも平気で1ヶ月は待たされる。

そこをなんとか頼み込んで、12〜3日後の予約をやっととったばかりだった。

病院から県支庁舎までは車で10分以内の距離なので、同日に決めたのだった。

ただ、もし、病院での診察がややこしいことにでもなったら、11時半からの県庁アポは少々リスキーだ。

万一に備えて、娘にも同行してもらうことにした。

 

診察室への同伴は許されないので、娘は待合室、私は駐車場で結果報告を待つことになった。

幸い、心配することはないとの診察結果を得られ、3〜40分で終わってしまった。ほっとした一方、あいにくの雨の中、時間を持て余すことになった。

担当医はこんな時期の医療関係者にしては、とても親切快活で、今年諦めざるを得なくなった日本への旅行について熱く語ってくれたという。一度日本にいったことのある友人知人は、全員がもう一度行きたいと言うのだそうだ。

日本での快適なおもてなし体験は、こうやって回り回って在外邦人にもいい影響を与えてくれる。ありがたいことだ。まずは、来日するどんな国からの来訪者にも好印象を持ってもらうことは、翻って日本の在外活動へのかけがえのない支援にもなることを改めて認識した次第だ。

 

バイヨンヌの県支庁舎への出頭は2度めになる。

アドゥール(Adour)川沿いにあるその建物には、広い前庭に面した物々しい鉄格子フェンスがある。その入り口フェンス越しに、受付担当者と意味不明のゆるいやり取りのあと内部に入る。わざわざ出て来なくてもインターフォーンを通して予約確認のやり取りも、開閉機能コントロールもできるのだ。

少し早めに着いたのだが、空いていたせいかすぐに受け付けてくれた。事務手続きは単純な確認作業だけなので淡々と進むのだった。それにしても担当事務の女性は無駄な動きが多い。要領の悪い緩慢な手続きがほぼ無言で進められるのだった。

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手続き窓口

そして、最終的に受け取ったカードには思いがけず、有効期限が2030年までの記載があった。

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クレジットカード大の滞在許可証に記された有効期限


 

意外だったので、10年有効なのか?と聞いてみたら、そうだけど何か問題がある?と返された。

裏面にはどんな職業にも就業できる旨の記載もある。

ネット上の体験談などでは、更新は、1年、3年、5年のステップを経て、最長の10年の取得までにはかなりの年月がかかるとされている。しかもそれを得るにはフランス語能力のレベルも高いものを要求されるし、場合によっては担当官が突然家までやってきて、夫婦がともに暮らしているかどうか、飾ってある写真までしっかりチェックされることもあると知らされていたものだ。

2ヶ月前に手続きが終わったときに、発行される許可証の有効期限を訊いても全く答えはなかったので、本当に意外だった。

 

それにしても、まったく認可の基準も所要時間もわからない。管轄地域や担当官、時の情勢等によってまちまちなのだ。おそらく私の体験もこれから申請する人の具体的な役には立たないのだろうと思う。

何しろ、昨年夏、2回やったPAUでの研修もあと2回残したままで、未だになんの音沙汰もない。最初の1年間の滞在許可を取得するにはその4回の研修が必須のはずなのだ。

つまり、私は最初の1年間の滞在許可を得ることなく、直接最長の10年有効許可を取得したことになる。

長期の滞在許可を申請するのは、今持っている滞在許可の延長申請という意味だから、現有の滞在許可証を持参せよとはそういう意味だったのだ。

私の場合は結果良しだが、特にこのコロナ禍の中では、よほど神経が図太くなければ、これらの行政処理のわからなさ加減には耐えられないかもしれない。

 

まあ、狐につままれたような感じだが、結果的に、これであと10年、ビザや滞在許可の事務手続きに煩わされることがないことだけは確かだ。

こちらの健康保険制度への加入も昨年8月にできているので、滞在ステータスはかなり安定したといえる。

 

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健康保険証(Carte Vitale)

 

あとは、運転免許証の手続きの結果待ちだ。すでに申請してから5ヶ月経っている。

ここまで来ると、とりあえず全てうまく行くような気がしてきた。